ニュース (2014年12月3日)
ニュース (2014年12月10日)
巨大構造がメインのPDB FTPアーカイブ内に統合されました
9月にお知らせした通り、今週の更新で、巨大構造(鎖数が62、原子数が99999より多い構造)を表現するファイルは、 PDBx/mmCIFとPDBMLフォーマットのみ、メインのPDB FTPアーカイブに完全に統合されました。 これまでは、巨大構造は複数の”分割(SPLIT)”エントリーにまたがって表現されていましたが、分割エントリーは削除(廃止)されました。 ”分割(SPLIT)”エントリーのIDをwwPDBパートナーのウェブサイトで検索すると、自動的に、統合された巨大構造エントリーの結果が返ります。
FTPアーカイブ上の別のディレクトリには、TARファイルが置かれます。 この中には、著者、引用文献の詳細、座標データ等、巨大構造に対して”可能な範囲で表現された (best-effort, minimal)” 制限付きPDBフォーマットファイル群と 巨大構造の鎖名と制限付きPDBフォーマット中の鎖名の対応付けを記載した マッピングファイルが含まれます。 巨大構造に対するDOIは、これらTARファイルを指しています。
巨大構造は、PDBx/mmCIFとPDBMLフォーマットのみ、メインのPDB FTPアーカイブに置かれます。 また、生物学的単位のファイルも、PDBx/mmCIFフォーマットで置かれます。 PDBフォーマットの限界を超えない構造に対しては、しばらくの間は、PDBフォーマットファイルも提供が続けられます。
この変更が行われる前のFTPアーカイブのスナップショットは、RCSB PDBとPDBjのFTPサイトからご利用頂けます。
メインのFTPアーカイブ
巨大構造ファイルは、PDBのメインのFTPアーカイブに統合されました
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/structures/ (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/structures/ (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/structures/ (PDBj)
廃止用ディレクトリ
巨大構造に対応する”分割(SPLIT)”エントリーは、廃止用のディレクトリに移動されました。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/structures/obsolete/ (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/structures/obsolete (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/structures/obsolete/ (PDBj)
巨大構造の制限付きPDBフォーマットファイル用の新しいディレクトリ
”可能な範囲で表現された (best-effort, minimal)”PDBフォーマットファイルと関連するPDB ID一覧のインデックスファイルを含むTARファイルは、以下のディレクトリで提供されています。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/compatible/pdb_bundle (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/compatible/pdb_bundle (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/compatible/pdb_bundle (PDBj)
巨大構造の生物学的単位ファイル用の新しいディレクトリ
巨大構造の生物学的単位はPDBx/mmCIFフォーマットで表現され、以下のディレクトリからご利用頂けます。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/biounit/mmCIF/ (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/biounit/mmCIF/ (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/biounit/mmCIF/ (PDBj)
[ wwPDB ニュース ]
ニュース (2014年11月26日)
2015年1月27日以降、ADITはX線結晶構造の登録にはご利用できず wwPDB登録ツールをご利用いただくことになります。その他の手法による構造の登録は、その後もADITにてご利用頂けます。
2014年1月27日に、wwPDBは、新しい登録及びアノテーション処理のシステムの一部として、 X線結晶構造を対象に、登録ツールの提供を開始しました。 3000件以上の構造が新しいシステムを使って登録され、アノテーション処理が行われました。そのうち1200件はすでに公開されています。 またユーザからの意見に基づいて、定期的にシステムの改良を進めてきました。
新しい登録ツールの公開が成功したことを受けて、RCSB PDBとPDBjは、2015年1月27日からは、 X線結晶構造に対しては、wwPDBの登録ツールからの登録のみ受け付ける予定です。 同時に、従来のADIT登録システムでは、結晶構造の新しい登録の受付は停止します。 すでにX線結晶構造の登録を開始され、中断されている場合、 登録途中のセッションは、2015年7月19日まで登録を再開できます。
X線以外の実験手法で解析された構造の登録には、ADITを引き続きご利用頂けます。 NMRや電子顕微鏡法(3DEM)のための登録ツールは、wwPDBが現在開発を進めています。
新しいシステムには以下のような特徴があります。 PDBx/mmCIFフォーマットを利用することにより、より統一されたデータを作成できます。 登録の前でも後でも、データファイルを差し替えることができます。 アノテータと登録者間のコミュニケーション方法が改善されています。 アノテーション処理が改良されています。 幾何学的データや実験データに対して専門家から成る委員会(task force)からの提言に基づいたチェックが行われます。 より詳細な情報と ビデオチュートリアルもご覧ください。
ご質問やコメントは、info@wwpdb.orgまでご連絡ください。
ニュース (2014年9月22日)
巨大構造がメインのPDB FTPアーカイブ内に統合されます
wwPDBは、これまで複数のPDBフォーマットファイル(分割エントリー)にまたがって表現されてきた巨大構造(例えばリボソーム)を一つのファイルに統合しました。 統合された構造には新しいPDB IDが発行され、PDBx/mmCIFフォーマットとPDBMLフォーマットの形で提供されています。 既にお知らせしている通り、統合化されたファイルは、公開テストのため、別のFTPディレクトリで、利用可能となっていました。
これら巨大構造を表現するファイルは、2014年12月10日の更新タイミングで、メインのPDB FTPアーカイブに完全に統合される予定です。 wwPDBメンバーサイトで、”分割(SPLIT)”エントリーのIDを検索すると、自動的に、統合された巨大構造エントリーの結果が返るようになります。
同じ更新タイミングで、FTPアーカイブ上の別のディレクトリには、tarファイルが置かれます。 この中には、著者、引用文献の詳細、座標データ等、巨大構造に対して”可能な範囲で表現された”制限付きPDBフォーマットファイル群と 巨大構造の鎖名と制限付きPDBフォーマット中の鎖名の対応付けを記載したマッピングファイルが含まれます。
2014年12月10日以降は、巨大構造(鎖数が62、原子数が99999より多い構造)は、PDBx/mmCIFとPDBMLフォーマットのみ、メインのPDB FTPアーカイブに置かれます。 PDBフォーマットの限界を超えない構造に対しては、しばらくの間は、PDBフォーマットファイルも提供が続けられます。
メインのFTPアーカイブ
巨大構造ファイルは、2014年12月10日以降は、PDBのメインのFTPアーカイブに統合されます。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/structures/ (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/structures/ (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/structures/ (PDBj)
廃止用ディレクトリ
巨大構造に対応する”分割(SPLIT)”エントリーは、2014年12月10日以降は、廃止用のディレクトリに移動されます。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/structures/obsolete/ (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/structures/obsolete (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/structures/obsolete/ (PDBj)
巨大構造の制限付きPDBフォーマットファイル用の新しいディレクトリ
”可能な範囲で表現された”PDBフォーマットファイルが、2014年12月10日より、以下のディレクトリで提供されます。
ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/compatible/pdb_bundle (wwPDB/RCSB PDB)
ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/compatible/pdb_bundle (PDBe)
ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/compatible/pdb_bundle (PDBj)
wwPDBへのご質問などはinfo@wwpdb.org までお願いします。
[ wwPDB ニュース ]
ニュース (2014年7月9日)
公開アーカイブにおける巨大構造表示方法の改善について
PDBの登録が飛躍的に増加していること、そしてこの登録エントリーに含まれる大きくて複雑な構造(巨大構造)の決定にしばしば複数の実験手法 が用いられることに対応するため、wwPDBでは構造の登録とアノテーションを行うための新しいソフトウェアシステムを開発してきました。この新 システムは、PDBx/mmCIFフォーマットに基づいて作られており、あらゆるサイズの構造を扱うことができます。ただ現在対象としているのは、X線 結晶解析で解かれた構造のみです。巨大構造は2013年5月以降、分割せずそのままの形でアノテーション処理され 、公開されています。
既にお知らせしている通り、wwPDBは、これまで複数のエントリーに「分割」(split)されていた構造を統合し、 単一の PDBx/mmCIF ファイルを作る作業を進めています。各々の統合されたファイルには新たなPDB IDが発行されています。これによりPDBアーカ イブにおける巨大構造の表現が大いに改善されます。
統合されたファイルは2014年7月9日、PDBアーカイブから利用できるようになります。但し、6ヶ月の移行期間中は、既存エントリーとは別のFTP領 域(下記参照)に配置され、ここで徹底的に精査し検証することができます。この間、元のPDBフォーマットで書かれた「分割ファイル(split fil e)」は従来通り、現在のアーカイブから利用することができます。「分割された」エントリーと「統合された」エントリーとの関係については、 統合されたPDBx/mmCIFファイルのpdbx_database_relatedの項目に記されています。
移行期間が終わると、統合されたPDBx/mmCIFファイルは巨大構造用に用意された別領域からメインのPDB FTPアーカイブ内に移され、この時、2つ以 上に「分割された」エントリーは、メインのFTPアーカイブから取り除かれる予定です。wwPDBメンバーサイトで分割エントリーのPDB IDを検索する と、全体構造を示す新たな「統合」エントリーが検索結果として返るようになります。
移行期間終了後、開発者および利用者は次のことに注意しておく必要があります。PDBx/mmCIFはアーカイブの配布に用いられる、大元となるフォー マットになります。古いPDBフォーマットには巨大構造を表現できないという制約があるため、PDBフォーマットは現行のメインアーカイブとは別に 可能な範囲内でのみ提供されます。そのため、アーカイブ全体を扱う開発者・利用者は2014年の末までに利用するソフトウェアがPDBx/mmCIFをサポ ートしているか確認しておくのがいいでしょう。PDBx/mmCIFを扱うツールや読み書きを行うためのパッケージへのリンクをこちらに掲載していますので合わせてご利用下さい。
wwPDBは、ポール・アダムス(Paul Adams)氏を議長とし、主なX線構造精密化ソフトウェアを提供する団体の代表者を集めて、PDBx/mmCIFによるデ ータ登録の作業部会を開きました。そして、PDBフォーマットからPDBx/mmCIFへの移行を容易にするため、統合された巨大構造を記述するのに欠か せない仕様拡張の提案を行いました。
- 原子の通し番号は1から原子の数まで(フィールド幅の制限無し)
- 鎖の識別子(Chain ID)は最大4文字
- 各原子座標のフィールド幅は必要なだけ(かつ小数第3位までの精度を維持)
- 等方性B因子(isotropic B-factor)と占有率(occupancy)は小数第3位まで記述
登録に適したPDBx/mmCIFファイルは、最近のCCP4(REFMAC 5.8)やPhenix(1.8.2)で作ることができます。どちらのソフトウェアも巨大構造に関 する上記の拡張をサポートしています。新登録システムや巨大構造の扱い方について、ご質問がありましたら info@wwpdb.org までご連絡下さい。
移行期間中、統合した巨大構造のファイルは下記サイトから取得できます。
- wwPDB:
- ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/data/large_structures/
- PDBe:
- ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/data/large_s tructures/
- PDBj:
- ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/data/large_structures/
国際結晶学会(8月5-12日)でのwwPDB関連イベントのお知らせ
国際結晶学会(8月5-12日)でのwwPDB関連イベントのお知らせ
wwPDB のメンバー(RCSB, PDBe, PDBj )はカナダ、ケベック州モントリオールで8月5-12日に開催される全世界規模の国際結晶学会23回目総会に参 加します。PDBアーカイブの10万件エントリ達成を記念するステッカーを配布しますので、スタンド114の展示ブースへぜひお越し下さい。wwPDBの その他のイベントは下記の通りです。
-
8月7日(木)
- "ポスター発表: The New wwPDB Deposition and Annotation System presented by John Westbrook (RCSB PDB) BM.P54.A536
-
8月9日(土)
- "口頭発表: The history of the PDB as a public resource for enabling science by Helen M. Berman (RCSB PDB) in MS61 The Beginnings Of Biological Crystallography (1:45 - 4:20pm) in Room 517d.
- "ポスター発表: Educational Outreach and User Training at the Worldwide Protein Data Bank (MS84.P01.B415) presented by Matthew Conro y (PDBe) and Christine Zardecki (RCSB PDB).
- "ポスター発表: Japanese Science & Technology with Crystallography (MS86.P17.B445) presented by Atsushi Nakagawa (PDBj).
-
8月10日(月)
- "口頭発表: Educational Outreach and User Training at the Worldwide Protein Data Bank (MS84.P01.B415) by Matthew Conroy (PDBe) and C hristine Zardecki (RCSB PDB) in MS84 Crystallography Education and Training in the 21st Century: New Pedagogies, New Paradigms, Part I (9:40am-12:15pm) in room 517a.
-
8月12日(火)
- "口頭発表: New wwPDB validation pipelines for X-ray, NMR and 3DEM structures by Sameer Velankar (PDBe) in MS100 Beginner's Guide to Validation of Crystallographic Results on (9:40am - 12:15pm) in room 517a.
FTP siteからのPDBMLplusの更新終了について
既にお知らせしている通り、これまで提供してきました、PDBj FTPサイトからのPDBMLplusファイルは、7/9をもって、更新を終了いたしました。今後は、PDBj Mineのオンデマンド提供による、"PDBML"と"PDBMLadd(付加部分)"を合成した"PDBMLplus"をご利用ください。
また、PDBMLaddファイルのPDBj FTP siteからの提供は引き続き行います。ニュース (2014年4月17日)
PDBjで提供した画像がオンライン事典に掲載されました。
ブリタニカ・ジャパン社にて提供されているオンライン事典「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」の蛋白質のページに、PDBjから提供した分子画像が掲載されました。PDBのエントリー数が10万件を突破しました
PDBのエントリー数が10万件を突破しました

蛋白質構造データバンク(PDB)について

図 1: PDBのローカルアーカイブ
RCSB(米国)、PDBe(英国)、PDBj (日本)
PDBは、蛋白質、核酸等の生体高分子立体構造データを集めたデータベースとして、1971年に米国で創設されました。 2003年には英国(欧州)と日本(アジア)が加わり、日米欧3極、4つのデータセンターで、全世界の研究者が明らかにした蛋白質構造のデータを登録・管理・運営し、無償で公開する体制が整えられました。 登録データ数の飛躍的な増加とともに、生命科学の研究や創薬開発のための情報源として、着実にその重要性を深めています。 Protein Data Bank Japan (PDBj) は、PDBのアジア地域アーカイブとして、全世界の総登録数の1/4の登録処理を行っています。
データバンクの設立と発展
1950年代に、科学者は初めて、X線結晶解析によって原子レベルで蛋白質やDNAの立体構造を解析し始め、これら初期の構造解析が構造生物学の新たな時代を切り開きました。 解析されたデータを蓄積し共有することの重要性は明白であり、米国と英国を中心とする国際的な連携によって運営される蛋白質構造データバンク(PDB)が1971年に設立されました。
PDBに登録された初期の構造には、ノーベル賞受賞者であるジョン・ケンドリューとマックス・ペルーツ両博士によって1958年に解かれたミオグロビンと酸素が結合した構造もあります。 本日5月14日に、PDBには219個の構造エントリーが新たに追加され、PDBから公開されている全エントリー数は100,147件となりました。 これらの構造は他のデータとともに創薬、情報生物学とその教育に極めて重要な役割を果たすこととなります。
PDBは急速に発展し、2008年以降、2倍の規模に成長しており、毎週200以上の構造を新たに科学の分野へ公開しています。 このデータベースには、異なる蛋白質が互いにどう関係しているのかを突き止め、生物学的なメカニズムを明らかにし、さらには新薬を開発する、という目的を持った研究者や学生、教育に携わる方々からの数億ものアクセスが毎年あります。
ノーベル賞受賞者である英国ケンブリッジのMRC分子生物学研究所のヴェンキ・ラマクリシュナン博士は、「PDBは、遺伝学者から創薬ターゲットを求めている製薬会社まで、全ての科学者の国際的なコミュニティーに対する決定的に重要な情報資源である」と言っています。
発足当初からPDBは研究者コミュニティーによって運営されるデータバンクであり、生物学研究への国際的に重要な情報資源として運営されてきました。 2003年以降は、米国、英国、日本の3極による国際的組織(wwPDB: Worldwide PDB)として、その品質を保持しつつ貴重なデータを蓄積・管理し、世界の科学者に無償で公開し続けてきました。 wwPDBのメンバーは、登録と編集の方針やデータの表示に関する問題、またデータ検証の基準等について、専門家たちと緊密に連携し運営を行っております。 加えて、wwPDBはより広い分野の科学者に対する構造生命科学の振興にも寄与してきました。
データバンクに登録される構造は、それぞれ公開前にwwPDBのスタッフによって注意深く検証されます。 新たに登録されたデータは精査され、付加価値の高いアノテーションにより信頼性が高められ、また他の重要な生物学データとクロスリンクされて関係付けられ、広い分野において様々な研究の背景や目的を有するユーザーの目にとまり易くなるよう整備されます。
今後の挑戦
科学コミュニティーでは、次なる10万件の構造と、それら新しいデータがもたらす貴重な知識が強く期待されています。 しかしながら、PDBに登録される構造の数、大きさ、また生物学的データの複雑さが増すとともに、生物学的に関連のある分子のかたちを決定づける様々な生物物理学的、生物化学的テクニック、またモデリングの技術を必要とする、ハイブリッドな構造決定法が産み出され、構造データの表現や管理に対する大きな挑戦となっています。 wwPDBは科学コミュニティーと協力しながら、これらの問題に対峙し続け、できる限りその品質、信頼性、持続性の標準を高く保つことを保証いたします。
wwPDBについて
wwPDB (http://wwpdb.org) はPDBアーカイブを運営する4つのデータセンターによる国際的パートナーシップであり、そのミッションは、生体高分子を無償で全世界に公開する生体高分子のシングルアーカイブを維持することです。 米国では、ニュージャージー州のラトガース大学に在を置くthe Research Collaboratory for Structural Bioinformatics Protein Data Bank (RCSB-PDB; http://rcsb.org)と、NMR実験データを専門に処理するグループとして米国ウィスコンシン大学にあるBioMagResBank (BMRB; http://bmrb.wisc.edu) 、カリフォルニア州サンディエゴ大学にあるthe San Diego Supercomputer Center (SDSC) 、Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciencesが協力し、欧州ではEMBL-EBIにあるthe Protein Data Bank in Europe (PDBe; http://pdbe.org)、日本では大阪大学蛋白質研究所にあるthe Protein Data Bank Japan (PDBj; http://pdbj.org)によって、wwPDB が構成されています。
これらの地域アーカイブは、下記の通り多くの機関より支援を受け運営されています。
RCSB : 米国国立科学財団、米国国立衛生研究所、米国エネルギー省
BMRB : 米国国立医学図書館
PDBe : 欧州分子生物学研究所、Wellcome Trust、米国国立衛生研究所、欧州連合、英国科学技術振興機構、英国医学研究評議会
PDBj : 日本科学技術振興機構
Contact
wwPDB: The Worldwide Protein Data Bank (wwPDB), info@wwpdb.org
US: Christine Zardecki, RCSB Protein Data Bank, Rutgers, The State University of New Jersey; 848 445 0103, inforcsb.org
UK: Gary Battle, Protein Data Bank in Europe, European Bioinformatics Institute (EMBL-EBI), Cambridge (UK); +44 1223 49-4654, battleebi.ac.uk
Japan: Nahoko Haruki, Protein Data Bank Japan, Institute for Protein Research, Osaka University; +81 6 6879 4311, nahokohprotein.osaka-u.ac.jp

図 2: PDBに登録された多様で複雑な生体高分子の構造(1~8)とデータ数の推移
構造の例 1. ミオグロビン (PDB ID: 1mbn)、 2. 酵素類 (上: 4pti, 右下: 2cha, 左下: 3cpa)、 3. 転移RNA (6tna)、 4. ウイルス (4rhv)、 5. 抗体 (1igt)、 6. 蛋白質-DNA複合体 (上より下に、1j59, 1tro, 2bop, 1aoi)、 7. リボソーム (1fjg, 1fka, 1ffk), 8. シャペロン (1aon).
Myoglobin (PDB ID 1mbn): J. C. Kendrew, G. Bodo, H. M. Dintzis, R. G. Parrish, H. Wyckoff, D. C. Phillips. (1958) A three-dimensional model of the myoglobin molecule obtained by x-ray analysis. Nature 181: 662-666; J. C. Kendrew, R. E. Dickerson, B. E. Strandberg, R. G. Hart, D. R. Davies, D. C. Phillips, V. C. Shore. (1960) Structure of myoglobin: A three-dimensional Fourier synthesis at 2 A. resolution. Nature 185: 422-427; Enzymes (top, 4pti): M. Marquart, Walter, J., Deisenhofer, J., Bode, W., Huber, R. (1983) The geometry of the reactive site and of the peptide groups in trypsin, trypsinogen and its complexes with inhibitors. Acta Crystallogr B39: 480; (bottom left: 3cpa): D. W. Christianson, W. N. Lipscomb. (1986) X-ray crystallographic investigation of substrate binding to carboxypeptidase A at subzero temperature. Proc Natl Acad Sci U S A 83: 7568-7572; (bottom right: 2cha):J. J. Birktoft, D. M. Blow. (1972) Structure of crystalline alpha-chymotrypsin. V. The atomic structure of tosyl-alpha-chymotrypsin at 2 Å resolution. J Mol Biol 68: 187-240; tRNA (6tna): J. L. Sussman, S. R. Holbrook, R. W. Warrant, G. M. Church, S.-H. Kim. (1978) Crystal structure of yeast phenylalanine transfer RNA. I. Crystallographic refinement. J. Mol. Biol. 123: 607-630; Virus (4rhv): E. Arnold, M. G. Rossmann. (1988) The use of molecular-replacement phases for the refinement of the human rhinovirus 14 structure. Acta Crystallogr A 44 (Pt 3): 270-282; Antibody (1igt): L. J. Harris, S. B. Larson, K. W. Hasel, A. McPherson. (1997) Refined structure of an intact IgG2a monoclonal antibody. Biochemistry 36: 1581-1597; Protein-DNA complexes, top to bottom (1j59): G. Parkinson, C. Wilson, A. Gunasekera, Y. W. Ebright, R. E. Ebright, H. M. Berman. (1996) Structure of the CAP-DNA complex at 2.5 Å resolution: a complete picture of the protein-DNA interface. J. Mol. Biol. 260: 395-408; (1tro): Z. Otwinowski, R. W. Schevitz, R.-G. Zhang, C. L. Lawson, A. Joachimiak, R. Q. Marmorstein, B. F. Luisi, P. B. Sigler. (1988) Crystal structure of trp repressor/operator complex at atomic resolution. Nature 335: 321-329; (2bop): R. S. Hegde, S. R. Grossman, L. A. Laimins, P. B. Sigler. (1992) Crystal structure at 1.7 Å of the bovine papillomavirus-1 E2 DNA-binding domain bound to its DNA target. Nature 359: 505-512; (1aoi): K. Luger, A. W. Mader, R. K. Richmond, D. F. Sargent, T. J. Richmond. (1997) Crystal structure of the nucleosome core particle at 2.8Å resolution. Nature 389: 251-260; Ribosome (1fjg): A. P. Carter, W. M. Clemons, D. E. Brodersen, R. J. Morgan-Warren, B. T. Wimberly, V. Ramakrishnan. (2000) Functional insights from the structure of the 30S ribosomal subunit and its interactions with antibiotics. Nature 407: 340-348; (1fka): F. Schluenzen, A. Tocilj, R. Zarivach, J. Harms, M. Gluehmann, D. Janell, A. Bashan, H. Bartels, I. Agmon, F. Franceschi, A. Yonath. (2000) Structure of functionally activated small ribosomal subunit at 3.3 Å resolution. Cell 102: 615-623; (1ffk): N. Ban, P. Nissen, J. Hansen, P. B. Moore, T. A. Steitz. (2000) The complete atomic structure of the large ribosomal subunit at a 2.4 Å resolution. Science 289: 905-920; Chaperone (1aon): Z. Xu, A. L. Horwich, P. B. Sigler. (1997) The crystal structure of the asymmetric GroEL-GroES-(ADP)7 chaperonin complex. Nature 388: 741-750.
[ wwPDB ニュース ]
次世代ツールの稼働開始と10万件への道のり
次世代ツールの稼働開始と10万件への道のり

今日PDBに登録される構造の多くでは、アーカイブ中で最も適した表現を行うために、データ収集やアノテーションの際、特別なツールと処理が必要とされます。 巨大構造や錯体化学、複数の実験手法の使用がもたらす課題に応えるため、wwPDBは新しい登録・編集システムを稼働させ始めています。 PDBの各拠点は、新登録・編集システムのおかげで、今後数十年にわたって進化し続ける研究者の要望に対応できるでしょう。
1月末に新システムの使用を開始して以来、すでに30ヵ国から750件以上のX線結晶構造が新システムを使用して登録されました。
登録者にとっては、新登録システムで新しく追加、又は、改良された特徴には、次のようなものが含まれます: (wwPDBのX線検証作業チーム(X-ray Validation Task Force)の推奨に従った)検証レポートがX線結晶構造に対して生成されること、 リガンド情報の考察機能の改善、登録前と登録後に座標や実験データを差し替える機能、 登録者とwwPDB アノテーター間のコミュニケーション手続きが改善されたこと、登録前にPDBx/mmCIFファイルをプレビューやダウンロードで確認できる機能など。
データの利用者にとっては、新編集システムでは、データ処理の効率性と一貫性が大きく改善されています。
wwPDBの登録拠点で使用されている 現行の登録・編集システムは全て、新しいシステムに置き換わる予定です。

ニュース (2014年4月24日)
PDBの構築と10万件への道のり

今週の更新で、PDBアーカイブのエントリー数は 99,624件に達し、まもなく100,000件を迎える見通しです。この節目を迎えるにあたり、今週、PDBの他の節目を振り返っています。
精力的な話し合いや討論、将来の計画立案を通じて、構造生物学の研究者たちが一団となり、1971年に、ブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)1で、実験的に決定した生物学的高分子の構造のデータベースとして、PDBを設立しました。 今日、PDBアーカイブは、PDBデータの登録、編集、配布拠点として活動する唯一の共同体組織である、Worldwide Protein Data Bank (wwPDB)2によって運営されています。3 wwPDBは、国際社会に無料で公開された高分子構造データのPDBアーカイブを維持していくことを使命としています。4,5
この使命を支持するために、wwPDBは、アーカイブに依存する様々な社会と緊密に連携しています。 wwPDBは、実験手法ごとに特有の検証や登録、アノテーションの問題に関する助言を求め、X線やNMR、電子顕微鏡(3DEM)、小角散乱(Small Angle Scattering)の分野で認めらた専門家を集め、専門委員会(タスクフォース)を招集しました。 専門家の推奨事項は、新登録・編集システムに不可欠な部分であるwwPDB検証パイプラインに組み込まれています。 最近、このパイプラインで作成された検証レポートが、アーカイブ中の全てのX線結晶構造に対して公開されました。NMRと電子顕微鏡構造に対するレポートは、今後公開される予定です。
PDBx/mmCIF作業チームを介して、wwPDBは、PDBの巨大構造や錯体化学、新しい混合実験手法の表現について、主要な高分子結晶構造解析ソフトウェアの開発者と協力して取り組んでいます。 巨大構造に対応するため、PDBx/mmCIFへの本質的な拡張についての提言が作成されました。現在、CCP4とPhenixでは、登録に適したPDBx/mmCIFファイルを生成できます。
X線結晶学、電子顕微鏡、NMR、バイオインフォマティクスの専門家から成る国際的な諮問委員会は、wwPDBへ助言を行い、毎年会合を開いています。
PDB40に参加した、過去と現在のPDBメンバー (Constance Brukin撮影) 参加者の氏名はwwPDBページをご覧ください
更に、wwPDBはシンポジウムや出版物を通して、より広い社会に働きかけています。注目すべきイベントの一つに、PDB誕生の地であるコールド・スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)で開かれた、Protein Data Bank の40周年を祝う2011年のシンポジウム (PDB40) があります。 多くの著名な講演者が、構造生物学の過去・現在・未来について語りました。このときの講演資料の一部は、オンラインでご覧いただけます。
最近、wwPDBは、世界結晶年を記念して、2014年のカレンダーを作成しました。このカレンダーは、PDFまたはPowerPointフォーマットでダウンロード頂けます。
PDBアーカイブとwwPDB組織の発展と将来について述べた数多くの出版物には、例えば次のものがあります。
「How community has shaped the Protein Data Bank (Structure, 2013)」
「The future of the Protein Data Bank (Biopolymers, 2013)」
「Creating a Community Resource for Protein Science (Protein Science, 2012)」
完全なリストはこちらからご覧頂けます。
- Protein Data Bank. (1971) Protein Data Bank. Nature New Biol. 233: 223.
- H. M. Berman, K. Henrick, H. Nakamura. (2003) Announcing the worldwide Protein Data Bank. Nat Struct Biol 10: 980.
- H. M. Berman, G. J. Kleywegt, H. Nakamura, J.L. Markley (2013) The future of the protein data bank. Biopolymers 99: 218-222.
- H. M. Berman, G. J. Kleywegt, H. Nakamura, J.L. Markley (2013) How community has shaped the Protein Data Bank. Structure 21: 1485-1491.
- H. M. Berman, G. J. Kleywegt, H. Nakamura, J.L. Markley (2012) The Protein Data Bank at 40: Reflecting on the Past to Prepare for the Future. Structure 20: 391-396.
[ wwPDB ニュース ]
ニュース (2014年5月2日)
PDB 初期の登録構造と10万件への道のり

1950年代に、科学者は初めて、X線結晶解析によって、原子レベルで、蛋白質の立体構造を解明し始めました。 ミオグロビン1,2 やヘモグロビン3、 リゾチーム4,5、 リボヌクレアーゼ6,7 などの構造が解明されたことにより、予期せずして、蛋白質の規則性や類似性、また、配列、構造、機能、進化の間の関係についての理解が進みました。 科学の発見と理解に対する大きな可能性が早くに認められ、ノーベル賞も授けられました。8こういった初期の構造が、分子構造生物学という科学的試みの新しい分野の誕生につながりました。

たった7つのエントリー(カルボキシペプチダーゼ、キモトリプシン、シトクロム、ヘモグロビン、乳酸脱水素酵素、スブチリシン、トリプシン阻害剤)9-15から始まって、こういった情報豊かな構造を利用できるように、1971年にPDBアーカイブが設立されました。コンピュータ・ネットワークが事実上存在しない時代に、この分野の先駆者がデータをアーカイブし共有する価値を理解していたのは、先見の明があったことの証拠です。
PDBアーカイブが設立されて以降、10-15年ごとに、アーカイブのサイズはおよそ10倍に増えてきました。公開されたPDBエントリー数は、1982年に100件に達し、1993年に1,000件に達し、2000年に10,000件に達しました。2014年5月に100,000件目の構造が公開されると、過去14年間にアーカイブの約90%が公開されたことになります。
節目となるエントリーとして、以下の記事をご覧ください。 RCSB PDBによるMolecule of the Month の記事"PDB Pioneers"(その日本語版である、PDBj による今月の分子の記事「PDBの先駆者たち」)、 Biophysical Journalに掲載されたBiophysical Highlights from 54 Years of Macromolecular Crystallography、 Biopolymersに掲載された Revealing Views of Structural Biology、 FEBS Journalに掲載された A brief history of macromolecular crystallography, illustrated by a family tree and its Nobel fruitsなど。
PDB の登録構造は定期的に、PDBeのQuite Interesting PDB Structures (Quips) や、PDBjのEncyclopedia of Protein Structures (eProtS)で紹介されています。
- J. C. Kendrew, R. E. Dickerson, B. E. Strandberg, et al. (1960) Structure of myoglobin: A three-dimensional Fourier synthesis at 2 A. resolution. Nature 185: 422-427.
- J. C. Kendrew, G. Bodo, H. M. Dintzis, et al. (1958) A three-dimensional model of the myoglobin molecule obtained by x-ray analysis. Nature 181: 662-666.
- M. F. Perutz, M. G. Rossmann, A. F. Cullis, et al. (1960) Structure of haemoglobin: a three-dimensional Fourier synthesis at 5.5 Å resolution, obtained by X-ray analysis. Nature 185: 416-422.
- C. C. F. Blake, L. N. Johnson, G. A. Mair, et al. (1967) Crystallographic studies of the activity of hen egg-white lysozyme. Proc. R. Soc. London Ser. B 167: 378-388.
- C. C. F. Blake, D. F. Koenig, G. A. Mair, et al. (1965) Structure of hen egg-white lysozyme. A three dimensional Fourier synthesis at 2 Å resolution. Nature 206: 757-761.
- G. Kartha, J. Bello, D. Harker. (1967) Tertiary structure of ribonuclease. Nature 213: 862-865.
- H. W. Wyckoff, K. D. Hardman, N. M. Allewell, et al. (1967) The structure of ribonuclease-S at 6 Å resolution. J. Biol. Chem. 242: 3749-3753.
- M. Jaskolski, Z. Dauter, A. Wlodawer. (2014) A brief history of macromolecular crystallography, illustrated by a family tree and its Nobel fruits. FEBS Journal in press.
- D. W. Christianson, W. N. Lipscomb. (1986) X-ray crystallographic investigation of substrate binding to carboxypeptidase A at subzero temperature. Proc Natl Acad Sci U S A 83: 7568-7572.
- J. J. Birktoft, D. M. Blow. (1972) Structure of crystalline alpha-chymotrypsin. V. The atomic structure of tosyl-alpha-chymotrypsin at 2 Å resolution. J Mol Biol 68: 187-240.
- R. C. Durley, F. S. Mathews. (1996) Refinement and structural analysis of bovine cytochrome b5 at 1.5 A resolution. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 52: 65-76.
- W. A. Hendrickson, W. E. Love, J. Karle. (1973) Crystal structure analysis of sea lamprey hemoglobin at 2 Å resolution. J Mol Biol 74: 331-361.
- C. Abad-Zapatero, J. P. Griffith, J. L. Sussman, et al. (1987) Refined crystal structure of dogfish M4 apo-lactate dehydrogenase. J Mol Biol 198: 445-467.
- R. A. Alden, J. J. Birktoft, J. Kraut, et al. (1971) Atomic coordinates for subtilisin BPN' (or Novo). Biochem Biophys Res Commun 45: 337-344.
- M. Marquart, Walter, J., Deisenhofer, J., Bode, W., Huber, R. (1983) The geometry of the reactive site and of the peptide groups in trypsin, trypsinogen and its complexes with inhibitors. Acta Crystallogr B39: 480.
FTPサイトからのPDBMLplusファイル提供を終了します。
FTPサイトからのPDBMLplusファイル提供を終了します
現在、PDBjで独自に収集したデータをPDBML-noatom(原子座標部分を除いたもの)に付加した「PDBMLplus」を下記2通りの方法で公開しています。-
FTPサイトに配置している合成済みのファイル
例:ftp://ftp.pdbj.org/XML/pdbmlplus/pdbml_xp_gz/100d.pdbmlplus.xml.gz -
リクエストに応じオンデマンドでPDBMLと付加部分(PDBMLadd)を合成しているもの
例:http://service.pdbj.org/mine/pdbmlplus/noatom/100d
PDBj ftp siteから、全エントリーのfasta format情報の提供を開始しました。
ニュース (2014年3月19日)
PDBアーカイブのX線結晶構造に対して、wwPDBの検証レポートが公開されました。
全てのX線結晶構造についての検証レポートが、PDBアーカイブで公開されています。 レポートは、以下のFTPサイトからご覧頂けます。
- ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/validation_reports/ (wwPDB)
- ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/validation_reports/ (PDBe)
- ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/validation_reports/ (PDBj)
検証レポート(約56GB)は、2014年3月19日の更新時にFTPアーカイブに追加されました。 各エントリーのファイル群は、PDB IDの2文字(2文字目と3文字目)を名前にもつディレクトリに分類されています。 例えば、1ABCのレポートは、/pdb/validation_reports/ab/1abc/というディレクトリ以下で公開されています。 ファイルは全て、gzip フォーマット(http://www.gzip.org/)で圧縮されています。
各エントリーごとに、5種類のファイルが公開されています。
- 標準版のwwPDB検証レポート(PDF) (例:1abc_validation.pdf.gz)
- 完全版のwwPDB検証レポート(PDF) (例:1abc_full_validation.pdf.gz)
- 全体的な品質を表す画像(PNG) (例:1abc_multipercentile_validation.png.gz)
- 全体的な品質を表す画像(SVG) (例:1abc_multipercentile_validation.svg.gz)
- 診断
PDBアーカイブからのデータのダウンロード方法は、 こちらをご覧ください。
この検証レポートでは、モデル座標と実験データ、及びこれら2つの一致度を考慮することによって、解析された構造の品質を評価することができます。あるモデルとアーカイブ中の他のモデルの品質を比較した要約情報は、容易に解釈することができ、PDBデータの利用者は、アーカイブ中の構造を評価し、ニーズに合った最も適切な構造モデルを選択することができます。
このレポートは、検証に関する専門家グループの意見を取り入れ、より大きな構想である、wwPDBの新登録・編集システムの一部として、開発されてきました。 新システムは、wwPDBの各登録拠点において、共通する全ての構造決定手法に対して、登録・編集ツールや方法を統一するために作られました。
2013年8月以降、wwPDBはX線結晶構造のアノテーション過程で、この新しい検証レポートを登録者に提供してきました。 更に最近では、wwPDBの検証サーバーのサービスを開始したことで、研究者は、登録前に必要に応じて検証レポートを作成することができるようになりました。
X線結晶構造の検証レポートのサンプルなど、詳細な情報は、wwPDBサイトをご覧ください。 新しい検証レポートに対するご意見を歓迎します。 検証レポートに対するコメントやご質問などは、validation@mail.wwpdb.orgまでお寄せください。
[ wwPDB ニュース ]
ニュース (2014年2月4日)
小角散乱(SAS)データのアーカイブについて
生物学的高分子の立体構造の研究において、小角散乱法(SAS)がますます利用されています。 wwPDBは各分野の専門家からなるSAS専門委員会(SAS Task Force)を設立しました。2012年の会議で議論された内容は、論文で出版されています。[Structure Trewhella et al., 21, 875-881 (2013)]
SAS専門委員会は、次のような提言を行っています: PDBアーカイブとは別に(但しPDBと連合の)SASデータとSASによるモデルの国際的なアーカイブを設立すること。 PDBアーカイブ中のSASデータのみに基づくモデル(数十個)は、SASアーカイブに転送し、PDBアーカイブから削除すること。 PDBに登録された後、方針決定待ちのため未公開のSASデータは、PDBでは処理もアーカイブも行わないこと、代わりに、SASアーカイブが設立されれば、そちらに転送して処理すること。
wwPDBはこの提言に従う予定で、登録されたSASエントリーはPDB IDが発行されますが、PDBでは処理を進めず、公開しない予定です。
ご質問等は、info@wwpdb.orgまでお願いします。
[ wwPDB ニュース ]
X線結晶構造に対して、wwPDBの新しい登録システムが公開されました。
X線結晶構造に対して、wwPDBの新しい登録システムが公開されました。

X線結晶構造解析で求めた構造に対して、新しい登録システムが利用できるようになりました。 (新登録システム:http://deposit.wwpdb.org/deposition)
新システムは、今後10年にわたって進化していく研究者の要望(巨大構造や錯体化学、複数の実験手法の使用などのサポートを含む)に見合うよう、開発されました。wwPDBの登録拠点で現在使用されている、全ての登録・編集システムは、新システムに置き換わり、効率や一貫性が改善されます。
新登録システムで新しく追加、又は、改良された特徴には、次のようなものが含まれます: wwPDBのX線検証作業チーム(X-ray Validation Task Force)の推奨に従った検証レポートがX線結晶構造に対して生成されること、 リガンド情報の考察機能の改善、登録前と登録後に座標や実験データを差し替える機能、 登録者とwwPDB アノテーター間のコミュニケーション手続きが改善されたこと、登録前にPDBx/mmCIFファイルをプレビューやダウンロードで確認できる機能など。
登録者は、2014年の間は、新システムを使うことも、旧登録ツール(ADIT、AutoDep)を使うこともできます。 新システムへの移行期の後は、旧ツールは登録途中のセッションを完了させるためにのみ利用可能となります。
移行をスムーズに進めるため、新システムを使った登録・編集処理は、これから数か月に渡って、徐々に増加させる予定です。 その後、NMRや電子顕微鏡(3DEM)構造についても、新システムを使った登録が開始される予定です。
新システムについては、 システム概要 をご覧ください。 最新情報は、wwPDBサイト(http://wwpdb.org/system_info.html)でご確認ください。 また、オンラインセミナーによる新システムの実演を近日中にアナウンスでお知らせする予定です。
[ wwPDBニュース ]
wwPDBは、2014年2月に、PDBアーカイブの全てのX線結晶構造について、検証レポートを公開します。
wwPDBは、2014年2月に、PDBアーカイブの全てのX線結晶構造について、検証レポートを公開します。
この検証レポートでは、モデル座標と実験データ、及びこれら2つの一致度を考慮することによって、解析された構造の品質を評価することができます。 あるモデルとアーカイブ中の他のモデルの品質を比較した要約情報は、容易に解釈することができ、PDBデータの利用者は、アーカイブ中の構造を評価し、ニーズに合った最も適切な構造モデルを選択することができます。
このレポートは、検証に関する専門家グループの意見を取り入れ、より大きな構想である、wwPDBの新登録・編集システムの一部として、開発されてきました。 新システムは、wwPDBの各登録拠点において、共通する全ての構造決定手法に対して、登録・編集ツールや方法を統一するために作られました。
2013年8月以降、wwPDBはX線結晶構造のアノテーション過程で、この新しい検証レポートを登録者に提供してきました。 更に最近では、wwPDBの検証サーバーのサービスを開始したことで、研究者は、登録前に必要に応じて検証レポートを作成することができるようになりました。
X線構造のサンプルレポートを含む、詳細情報は、wwPDBのページをご覧ください。 ご意見・ご質問等は、info@wwpdb.orgまでお問い合わせください。
[ wwPDBニュース ]
wwPDBは、2014年1月末に、新しい登録システムを公開する予定です
wwPDBは、2014年1月末に、新しい登録システムを公開する予定です
wwPDBは、2014年1月末に、X線結晶構造の登録に対して、新しい登録システムを公開する予定です。新しいウェブベースの登録ツールは、既存システムの多数の特徴を兼ね備えており、データの可視化やwwPDBのアノテータとのコミュニケーション機能も強化されています。
登録のインターフェースは、wwPDBの新登録・編集システムの重要となる部分です。新システムはwwPDBの各登録拠点において、登録・編集ツールや方法を統一するために作られました。すでに複数の構造に対して、この新システムを使った登録、編集、公開が行われており、夏以降テストが行われてきました。 2014年後半には、NMRや電子顕微鏡構造に対する登録ツールが利用できる見込みで、新システムは、現在wwPDBがアーカイブするすべての実験手法をサポートする予定です。
2014年末までは、登録の際、新しいシステムを使うことも、旧登録ツール(ADIT, AutoDepなど)を使うこともできます。 2014年末には旧ツールを使った新しい登録の受付を終了し、その後一定期間は、登録途中のセッションを完了させるためにのみ、旧ツールを利用できます。
新システムについての情報は、システム概要をご覧ください。定期的に更新されますので、wwPDBのサイトもご覧ください。 また、オンラインセミナーによる実演を、近々アナウンスでお知らせする予定です。
[ wwPDBニュース ]
アミノ酸命名法を標準化します
アミノ酸命名法を標準化します
wwPDBは、ピロリジン (pyrrolysine) とセレノシステイン (selenocysteine) に対して、生化学命名に関するIUPAC・IUBMB合同委員会の推奨に従った命名を使うよう移行中です。
1月以降は、これらを含む新規公開エントリーやアーカイブ中のエントリー(50個未満)のアミノ酸三文字表記には、PYL(ピロリジン)とSEC(セレノシステイン)が使われます。
4月には、これらを含む新規公開エントリーやアーカイブ中のエントリーのアミノ酸一文字表記には、O(ピロリジン)とU(セレノシステイン)が使われます。
ご質問等は、info@wwpdb.orgまでお問い合わせください。
[ wwPDBニュース ]
wwPDBが作成した世界結晶年(IYCr:2014)のカレンダーをダウンロード頂けます。
wwPDBが作成した世界結晶年(IYCr:2014)のカレンダーをダウンロード頂けます。

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関、UNESCO)と国際結晶学連合(IUCr)は、2014年を世界結晶年(IYCr2014)と宣言しました。
世界結晶年(IYCr2014)は、X線回折の100周年を記念するとともに、結晶学の現代における重要な役割を祝っています。
wwPDBが作成した2014年のカレンダーでは、X線結晶学によって可能になった、生物学を原子レベルで理解する方法を示しています。