1. はじめに
jVはタンパク質や核酸の分子を立体的に視覚化し対話的に操作することのできる三次元分子閲覧プログラムです。このプログラムの特徴は以下の通りです。
- PDBの正式なXML形式であるPDBMLファイルを読み込み表示することができます。
- 従来のPDBファイル形式であるPDBフォーマットファイルも読み込み表示することができます。
- 同時に複数のファイルを開いて表示し、重ね合わせたり別々に操作したりすることができます。
- Rasmolに似た操作性を持っています。
- 分子ファイルだけではなく、XMLで書かれたポリゴン(多面体)ファイルも読み込んで表示させることができます(ポリゴンファイルの詳細な仕様についてはポリゴンファイルのXMLスキーマをご覧ください)
- 分子アニメーションを作ることができます。アニメーション用ファイルは、複数のモデルを記したPDBフォーマットファイルで、各モデルがそれぞれのアニメーションフレームに対応します。
- OpenGL(JOGL)を用いているため、グラフィクス表示がきれいです。
jVはJavaランタイム環境(JRE)上で動作します。 立体画像表示にはJOGL APIを利用しています。 したがって、JREとJOGLが動作する一般的な環境であればjVを利用することができます(Windows 7/8/10、Mac OS X 10.3以降、CentOS、Ubuntuなど)。 なお動作に必要なJREとJOGLのバージョンは以下の通りです。
jV 4.1以降
-
JRE(Javaプラグインを含む)1.6以降
Javaダウンロード(日本語):https://www.java.com/ja/download/
Java SE ダウンロード(英語):https://www.oracle.com/java/technologies/javase-downloads.html
Java開発キット(JDK)にはJREが含まれますので、JDKがインストールされていれば別途JREをインストールする必要はありません。
JOGL 2.0-rc4以降(https://jogamp.org/jogl/www/)を使用しますが、jV配布物に同梱されているので別途入手する必要はありません。
jV 4.0以前
-
JRE(Javaプラグインを含む)1.4.2以降
Javaダウンロード(日本語):https://www.java.com/ja/download/
Java SE ダウンロード(英語):https://www.oracle.com/java/technologies/javase-downloads.html
Java開発キット(JDK)にはJREが含まれますので、JDKがインストールされていれば別途JREをインストールする必要はありません。
JRE6 Update15(1.6.0_15), JRE6 Update16(1.6.0_16) をお使いの場合、jVの表示ができなくなることがあります。JRE6 Update17(1.6.0_17)以降をお使いください。
- JOGL 1.0, 1.1.1 または JSR-231 1.0.0(jV 3.8.3 以降では、jV配布物に同梱されるようになったため、別途入手・インストールする必要はありません)
Windows VistaでJOGLをインストールするのに失敗した場合の回避方法はこちらをご覧下さい。
jVは、プログラム単独で動作させることも、Javaアプレットとしてウェブブラウザ上で利用することもできます。jVをアプレットとして動作させるにはJavaをウェブブラウザ上で動作させるための「Java Plug-in」が必要ですが、FirefoxやGoogle Chromeなど主なウェブブラウザはJavaアプレットに対応しなくなりました。jVアプレットについて詳しくはアプレットを使用するにはをご覧下さい。
jV 3.6以降では、アプレットランチャーを併用することにより、JOGLが事前インストールされていない環境からでもjVアプレットが閲覧できるようになりました。また3.8.3以降では、バイナリの配布物にJOGLライブラリを含めるようにし、スタンドアロンで使用する場合でも事前のJOGLインストールは必要なくなりました。
jVはマウスを使って対話的に回転や移動などの操作を行ったり、メニューから表示形式を変更したりすることができます。また、コマンドラインで操作することもできます。コマンドラインを使うとより詳細な操作を行うことができます。画面配置やコマンドの規則はRasMol(ラスモル)に準じています。分子やポリゴンを別々に移動させるには、操作したいものだけを選択します。rotate
や translate
のような操作コマンドは選択しているものだけに働きます。また、分子が選択されているかどうかに関係なく、任意の原子を選択することができます。wireframe
や spacefill
のような操作コマンドや色操作では、選択している原子だけが対象となります。
変更履歴(リリースノート)
変更、改善の経歴は以下の通りです。
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version 4.5.10 (2023/06/12)
- コード署名をやめ、Web Start版の提供を終了した。
- PDBML-noatomファイルのダウンロードURLの既定値を変更した。
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version 4.5.9 (2021/06/28)
- PDBMLplusの提供書式がJSONに変更されたことに対応した。
-
version 4.5.8 (2021/04/26)
- 分子情報を取得する際に用いているPDBMLのURLを更新した。
- アプレットの機能を削除した。
-
version 4.5.7 (2020/09/16)
- 中間CA証明書の更新に伴い、プログラムを新たな証明書で署名し直した。
-
version 4.5.6 (2020/06/01)
- プログラムを新たな証明書で署名し直した。
-
version 4.5.5 (2020/02/26)
- プログラムを新たな証明書で署名し直した。
-
version 4.5.4 (2018/02/03)
- プログラムを新たな証明書で署名し直した。
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version 4.5.3 (2017/02/06)
- アプレットのパラメータで同じサーバのデータを参照する場合、完全なURLだけではなく、パス部分だけの指定でも動作するよう仕様を変更。
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version 4.5.2 (2017/01/16)
- エラーダイアログに記載された問い合わせ先アドレスを変更。
-
version 4.5.1 (2016/05/10)
- 静止画像ファイルをアクセス権のないフォルダに書き込む際の処理に問題があったのを修正した。
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version 4.5 (2016/03/02)
- 低分子mmCIF(chem_comp mmCIF)の読み書きに対応した。
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version 4.4.5 (2016/01/08)
- 入力ファイルに有効なデータが含まれていなかった時にエラーダイアログを表示するようにした。
- 署名に用いている証明書を更新。
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version 4.4.4 (2015/10/01)
- ポリゴンのレンダリングに関する不具合を修正。
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version 4.4.3 (2015/02/24)
- PDBファイルへの書き込みに関する問題点を修正。
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version 4.4.2 (2014/12/03)
- 新たな証明書で署名を行った。
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version 4.4.1 (2014/11/10)
- mmCIFファイル読み込みに関するいくつかの問題を修正。
- 2原子間の距離を測る時のマウスピッキング動作を変更し、距離測定途中に分子の回転や移動を行っても距離測定には影響しないようにした。
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version 4.4 (2014/04/07)
- mmCIF形式ファイルの読み込み・出力に対応
- 生物学的単位構造の読み込み・出力に対応
- PDBMLplusのアクセス先URL設定を変更
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version 4.3.1 (2013/03/14)
- JRE 1.7におけるキャッシュ処理に関する問題への対応処理を追加。
-
version 4.3 (2013/02/25)
- stereoコマンドおよびメニューのステレオ表示設定に色分け立体視モードを追加。
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version 4.2.1 (2012/12/11)
- 新JOGLライブラリ(2.0-rc11)で動作するようになった。
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version 4.2 (2012/03/26)
- load polygon_cgo コマンドが追加され、このコマンドにより、eF-siteシステムで配布されているポリゴンCGO(PyMOL-specific Compiled Graphics Objects)ファイルを読み込めるようになった。
- アプレットに「pdbid」パラメータと「loadFTP」メソッドが追加され、スタンドアロン版の「load ftp [pdbid]」(PDBIDのみの指定で指定したエントリーのデータを読み込む)コマンドに相当する形式がアプレットでも使えるようになった。
- PDBML noatomファイルを読み込む際、そのディレクトリ名が「all-noatom」であれば、「../all-extatom」を、「XML-noatom」であれば、「../XML-extatom」を、PDBML extatomファイル検索パスに追加するようになった(それぞれPDB Archive、PDBj FTPのツリー構造に対応)。
-
version 4.1 (2011/12/21)
- jVアプレットをMac上でも動作させることができる新JOGLライブラリ(2.0-rc4以降)を使って動作できるようにした。
- このバージョンから、JRE 1.6以降が必要となった。
- add_backbone コマンドを追加した。
- 残基・塩基種の決定にMODRES(PDBフォーマットファイル)またはchem_comp/type(PDBMLファイル)の情報を利用するようになった(これまでjV内部であらかじめ定義されていた情報に基づき残基・塩基種を判定していたので、未定義の残基はペプチドでも核酸でもないヘテロ分子と判定されていた)。
-
version 4.0 (2011/07/11)
- PDB Exchange Dictionary バージョン4.0に準拠した「PDBML 4.0」「PDBフォーマット3.3」に対応した。
- 原子表現の機能を拡張し、大文字小文字を区別した鎖表現およびPDBMLに記載されているlabel_asym_idでの鎖表現が使えるようになった。
- メニューのマウスクリック時に表示される鎖IDに、従来から表示してきた auth_asym_id(著者が定義した鎖ID)に加え、mmCIF/PDBMLのみに掲載されている label_asym_id も表示するようにした。
- メニューのマウスクリック時の設定で「Pick Distance」「Pick Center」時の表示内容を他と同等のものに変更。
-
version 3.8.3 (2011/01/06)
- バイナリの配布物にJOGLライブラリを含めるようにし、スタンドアロンで使用する場合でも事前のJOGLインストールが必要ないようにした。
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version 3.8.2
- コマンド「ball_and_stick」を新たに追加した。
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version 3.8.1
- コマンド「cartoon」「ribbons」「trace」において、モデルを描くのに十分な原子を持たない鎖については代わりに主鎖を描くようにした。
- アミノ酸の認識はChemical Component Dictionaryに基づいて行うようにした。
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version 3.8
- コマンド「displayatom」を追加。
- 署名済みjVアップレットではPNG/JPEG形式で画像保存ができるようにした。
-
version 3.7.2
- png/jpeg形式の画像ファイルを生成する際に生じていた問題を修正。
-
version 3.7.1
- 既定のPDBMLのURLを変更。
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version 3.7
- コマンド「pdbj_describe」「pdbj_execute」を追加。
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version 3.6.5
- jVアップレット開始時にJavaScript関数を発行できるようにした。
-
version 3.6.4
- Mac環境におけるGUIメニューでの問題を修正した。
-
version 3.6.3
- PDBMLファイルの場合「label_asym_id」、PDBフォーマットファイルの場合「TER」行を読むことによって正しく鎖の区切れ目を検出するようファイルの解析方法を修正した。
-
version 3.6.2
- 最新のPDBMLが処理できるようにした。
- Macにおけるマウス操作の問題を修正した。
-
version 3.6.1
- 既定の残基群を修正。
- 古いJOGL APIのサポートをやめた。
- version 3.6
- アップレット-JavaScript通信でJavaScript関数名を指定できるようにした。
-
アップレットパラメータ「
file_load_message
」を追加した。
- version 3.5
- PDBフォーマット バージョン3の化学構成物辞書に基づいて、DNAとRNAの結合を区別するようにした。
-
太いリボン(cartoon)表現の初期設定を変更し、
以下の3コマンドを追加した。
set cartoon_loop_tube
、set cartoon_round
、set ribbonback
-
照明に関するパラメータの初期値を変更し、
以下の5コマンドを追加した。
set ambient
、set diffuse1
、set diffuse1_direction
、set diffuse2
、set diffuse2_direction
、 -
以下のコマンドを追加した。
set pdbml_noatom_url
、set pdbml_extatom_url
、set pdbml_plus_url
、set efsite_url
、set ext_site_url
、show pdbml_url
、show efsite_url
、show ext_site_url
、 -
'
-stdin
' のコマンドラインオプションを追加した。 このオプションによって、標準入力からコマンドを受け取るよう指定できます。
- version 3.4
- PDBフォーマット バージョン3を処理できるようにした。
- version 3.3.1
- pdbMLplusファイルを読み込む際の不具合を修正。
- version 3.3
- 前バージョンのJOGL(バージョン 1.1.1)とJSR-231の両方を使えるようにした。
-
次のコマンドを追加: '
set viewpoint
', 'show viewpoint
', 'set imagesize
', and 'show imagesize
'
- version 3.3 β1
- 利用できるJOGLのバージョンをJSR-231β5だけに制限した。
- version 3.2
-
'
show site
' コマンドを追加した。
-
'
- version 3.1.7
- アップレット初期化に関する不具合を修正。
- version 3.1.6
- 空のポリゴンファイルを読み込む際の不具合を修正。
- version 3.1.5
-
'
show xps3
' コマンドの出力内容を変更。 -
'
save png/jpeg
' コマンドの不具合を修正。
-
'
- version 3.1.4
- openGL描画の終了処理に関する不具合を修正。
- version 3.1.3
- xps3原子選択に関する不具合を修正。
- version 3.1.2
- eF-site ID を新しいフォーマットに変更した。
- version 3.1.1
- GUIメニューの [Options]-[Hetero Atoms] と [Hydrogens] にあった不具合を修正。
-
'
trace
' コマンドの不具合を修正。
- version 3.1
-
次のコマンドを追加: '
animrange
', 'set adjustview
', 'show godata
', and 'show xps3
'. - 原子グループの選択にxPSSS表現を使えるようにした。
- アップレット開始後に分子を追加できるようアップレットに機能追加した。
- アップレットでマウス選択した原子の情報をJavaScriptに送れるようにした。
-
次のコマンドを追加: '