jV マニュアル & 使用例

Version 4.5.8, 2021年4月26日

「jV」は、木下賢吾(東北大学大学院情報科学研究科)と中村春木(大阪大学蛋白質研究所)により、日本蛋白質構造データバンク(PDBj)の活動の一環として、独立行政法人科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター(JST-NBDC)と大阪大学蛋白質研究所の支援を受けて開発されているプログラムです。

英語版オリジナルマニュアルはこちら。 ユーザーガイドはこちら(PDF)。 jVホームページはこちら(英語版日本語版)。

当サイトの内容は、上記リンク先のオリジナルマニュアルやユーザーガイドの内容に、使用実例などを追加してまとめ、翻訳したものです。

7. メニュー操作 トップページに戻る 9. 頂点表現

8. 原子表現

標準の論理値演算子である'and'、'or'、'not'、そして括弧を使って複雑な表現ができます。 論理値演算子はそれぞれ '&'、'|'、'!' の省略形が利用できます。

8.1. 既定グループ名

8.1.1 元素名

carbon や nitrogen といった英語の元素名が原子の指定に利用できます。

1H
hydrogen
(水素)
2He
helium
(ヘリウム)
3Li
lithium
(リチウム)
4Be
beryllium
(ベリリウム)
5B
boron
(ホウ素)
6C
carbon
(炭素)
7N
nitrogen
(窒素)
8O
oxygen
(酸素)
9F
fluorine
(フッ素)
10Ne
neon
(ネオン)
11Na
sodium
(ナトリウム)
12Mg
magnesium
(マグネシウム)
13Al
aluminum
(アルミニウム)
14Si
silicon
(ケイ素)
15P
phosphorus
(リン)
16S
sulfur
(硫黄)
17Cl
chlorine
(塩素)
18Ar
argon
(アルゴン)
その他元素の例
元素番号元素記号 元素名(日本語)要素名(英語元素名)
19K カリウムpotassium
20Ca カルシウムcalcium
25Mn マンガンmanganese
26Fe iron
29Cu copper
30Zn 亜鉛zinc
34Se セレンselenium
53I ヨウ素iodine
55Cs セシウムcesium
74W タングステンtungsten

※原子番号103(Lr lawrencium ローレンシウム)までの各元素が指定に利用できます。

8.1.2 残基の性質に基づくグループ

a) タンパク質分子中のアミノ酸
ALAARGASNASPCYS GLUGLNGLYHISILE LEULYSMETPHEPRO SERTHRTRPTYRVAL
Acidic(酸性) * *
Acyclic(非環式) ***** **** *** ***
Aliphatic(親水性) * * * * *
Aromatic(芳香環) * * **
Basic(基本) * * *
Buried(埋もれた) * * * * ** * *
Charged(荷電) * * * * *
Cyclic(環状) * ** **
Hydrophobic(疎水性) * * * * *** ***
Large(大) * ** ** **** **
Medium(中) *** * * *
Negative(負電荷) * *
Negative(中性) * * * **** * *** *****
Polar(極性) **** ** * * **
Positive(正電荷) * * *
Small(小) * *
Surface(表面) *** **** * * ** *
Cysteine(システイン) *
Amino(アミノ酸) 上記20アミノ酸 + その他アミノ酸※1
Protein(タンパク質) Amino + UNK, ACE, FOR(PDBフォーマット2.3のみに存在)

※1:その他アミノ酸には種別(mmCIF/PDBMLのchem_comp/type)が以下のいずれかである化学物質が含まれます。化学物質については化学物質辞書(Chemical Component Dictionary)もご覧下さい。

  • D-peptide linking
  • D-peptide NH3 amino terminus
  • L-peptide COOH carboxy terminus
  • L-peptide linking
  • L-peptide NH3 amino terminus
  • peptide linking
  • peptide-like
b1) ヌクレオチド(PDBバージョン2.3)
A C G T U +U I1MA5MCOMC 1MG2MGM2G7MGOMG YGH2U5MUPSU
AT * *
CG **
Purine(プリン) * *
Pyrimidine(ピリミジン) * *
DNA ****
RNA *** * ***** ***** ****
Nucleic ***** ***** ***** ****
b2) ヌクレオチド(PDBバージョン3)
DADCDGDT A C G U other DNA※3other RNA※3
AT * *
CG **
Purine(プリン) * * * *
Pyrimidine(ピリミジン) * * * *
DNA **** *
RNA **** *
Nucleic **** **** **

※2: other DNAには種別(mmCIF/PDBMLのchem_comp/type)が「DNA linking」である化学物質が含まれます。化学物質については化学物質辞書(Chemical Component Dictionary)もご覧下さい。

※3: other RNAには種別(mmCIF/PDBMLのchem_comp/type)が「RNA linking」である化学物質が含まれます。化学物質については化学物質辞書(Chemical Component Dictionary)もご覧下さい。

c) その他
HOHDODSO4PO4
Water(水) **
Ions(イオン) **
Solvent(溶媒) ****

8.1.3 その他

Alpha
(α炭素)
α位の炭素、CAと名づけられているもの(= 「*.CA & !CA」、原子IDが「CA」でグループ名が「CA」(カルシウム)でないもの)。
Hetero
(ヘテロ)
PDBファイルでHETATMとして記されている原子、または溶媒中の原子。
Ligand
(リガンド)
ヘテロ原子のうち、溶媒原子を除いたもの。
Backbone
Mainchain
(主鎖)
アミノ酸中のCA(α炭素)およびN、C、O原子(主鎖のアミノ基・カルボキシル基)、
あるいは核酸中のP、O1P、O2P、O5'、O4'、O3'、O2'、C5'、C4'、C3'、C2'、C1'(リン酸と(デオキシ)リボース)

主鎖対象原子はadd_backboneコマンドで一時的に変更することができます。

Sidechain
(側鎖)
アミノ酸や核酸の分子で、主鎖に含まれない部分。
Bonded
(結合)
1つ以上の他の原子と結合している原子。
Selected
(選択中)
現在選択中の原子。
Helix
(らせん)
αらせん構造部分を構成する原子。
Sheet
(シート)
βシート構造部分を構成する原子。
Turn
(折り返し)
折り返し構造部分を構成する原子。
(グループ名) グループ名に該当する原子が選択されます。 GLY(グリシン)などのアミノ酸名、DA(DNAのアデニン)などのヌクレオチド名、 その他HETATM項目に記載されたグループ名が使用できます。
数字を含むグループ名を扱う際は、グループ名を大括弧([ ])で囲んで指定して下さい(例:select [so4])。

8.2. 比較演算子

分子の一部分を等号、不等号を用い、その属性に従って並べ替えることができます。 使える演算子は =、==、<>、!=、/=、<、<=、>、>= です。 使える属性名は以下の通り。

AtomNo(原子固有番号)
PDBMLファイルの「PDBx:atom_siteCategory/PDBx:atom_site id」に記載された各原子の固有の番号。
PDBフォーマットファイルの「ATOM/HETATM」行の第2項目にも類似の値が掲載されていますが、これとは必ずしも一致しないので注意。
例:固有番号1217番の原子を選択する。→ select atomno=1217例017
ElemNo(原子番号)
原子番号です。
例:原子番号26の原子(鉄 Fe)を選択する。→ select elemno=26例017
英語の元素名で同様の指定を行うこともできます(→元素名参照、上例の場合 select ironと記すこともできます)。
ResNo(残基番号) PDBファイルに記載された残基番号。
Radius(半径) 原子の球状図における半径。
Temperature(温度) 原子の温度因子。
Model(モデル) PDBファイルにおけるモデル番号。
File(ファイル) ファイルIDです。

8.3. 残基範囲

分子内の任意の官能基を残基IDで選択できます。例えば、コマンド「select 3」では各鎖の残基ID 3 含まれる原子が、「select 3-10」では各鎖の残基ID3〜10に含まれる原子が選択されます。残基番号の後にコロン(:)+鎖IDを記せば、特定の鎖の残基だけを選択することができます(例:「select 3:A」→A鎖の残基ID 3 に含まれる各原子を選択)。鎖選択にはいくつかの方法があります。詳しくは8.6. 基本表現をご覧下さい。

8.4. 距離による表現

ある原子から一定距離内にある原子を選択できます。 例えば、"select within(3.0, backbone)" という表現で、タンパク質または核酸の主鎖から3.0Å以内にある全ての原子を選択できます。

例:select (*A | *B) & within(3.0,(*C | *D))→A鎖またはB鎖にある原子の中で、C鎖またはD鎖のいずれかの原子と3.0Å以内にある原子を選択する。

8.5. PDBj表現

PDBj表現を使うと、「PDBMLplus」ファイルの記述に基づいて原子群を指定することができます。 PDBj表現は以下の形式で記述します。

【書式】
pdbj:キーワード

【例】'show pdbj'コマンドで得られる各分子のキーワードを得る
select pdbj:binding

使用できるキーワードのリストはshow pdbjコマンドで確認できます。

【例】
jV> show pdbj
File 1:
  type        subtype
  ---------------------
  Swiss-Prot  ACT_SITE
  Swiss-Prot  METAL
  Swiss-Prot  BINDING
  Swiss-Prot  TRANSMEM
  pdb_hetatom binding
  CSA         catalytic

appletでPDBj表現を利用しようとするとエラーが出る場合、PDBMLplusファイルにアクセスできない状況にあることが考えられます。

8.6. 基本表現

基本表現は次の通りです。

残基名 [残基ID][:鎖ID][.原子名][;交代位置][/モデルID][@ファイルID]

ここで指定する残基名は3文字で、原子名は4文字以内で指定します。角かっこで囲まれた語句は省略できます。例えば、select SER.CA コマンドは、セリン残基に含まれる全てのα炭素を選択します。全残基を指定するには * を指定します(例:"*.CA"→全残基のα炭素、"*.CA & *:A"→A鎖のα炭素全て)。

残基名に数字を含む場合は残基名を各かっこで囲って下さい(例:[SO4])。

各指定値は原則として大文字小文字は区別されません。但し、鎖IDに「a_」を付加した場合、指定値は大文字小文字を区別して処理されます(例:a_a→a鎖、a_A→A鎖、A→a鎖またはA鎖)。

またここで指定する残基名、残基ID、鎖ID、原子名は原則として著者によって定義された値(auth_seq_id、auth_comp_id、auth_asym_id、auth_atom_id)ですが、鎖IDについては冒頭に「l_」を付加すれば、系統的に割り振られた鎖ID(label_asym_id、PDBフォーマットファイルにはなく、mmCIF/PDBMLのみに掲載されている値)として解釈されます(例:l_AA→label_asym_idのAA)。


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