NMR構造の登録件数が10000件に到達しました
NMR構造の登録件数が10000件に到達しました
wwPDBは、核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定された構造の登録が1万件に到達したことを報告いたします。
NMR と PDB
1986年に最初のNMR構造が決定されて以来、PDBに登録されたNMR構造の数は着実に増加してきました。 昨年だけを見ても、登録開始後10年間に登録されたNMR構造の総数を超える500件もの新しいNMR構造が登録され、その登録数の伸びが実感できます(図 1)。 今日では、NMR構造の登録数は、PDBアーカイブ全体の10%以上となっています。PDBアーカイブ全体の登録数は、2014年には10万件に達する予定です。
図 1: NMR構造のPDB登録件数の推移(累計)
通常のPDBに登録されているNMR構造は複数のモデルアンサンブルから構成されます。 現在wwPDBは、モデルアンサンブルに加えて、立体構造計算、精密化の際に用いられた化学シフト、幾何学的制限情報データを登録必須項目としています。 これらのデータはBMRBにおける実験NMRデータのメインリポジトリとして共有しています。
NMRのPDB登録構造と付随する実験データは、wwPDBの各拠点において、エントリーごとのページで提供されています。 更に、多数の専用のデータベースやツール、サービスにより研究者コミュニティーにとって貴重なNMR構造情報が利用しやすくなっています。(表1)
今後の課題
PDBアーカイブは増大し続けているので、検証ツールを提供することが、ますます重要になってきています。 wwPDBのパートナーは、NMR分光法によって決定された構造を検証するための新しい基準とソフトウェアの開発を積極的に進めています。 wwPDBのNMR検証タスクフォース(VTF)が招集され、コミュニティの総意を汲んで、基準となる検証基準を定義してきました。 VTFによる最初の提言は、wwPDBの検証パイプラインに組み込まれ、全てのNMR構造の登録に適用される予定です。
表 1: PDBエントリー2LPZを例にしたNMR構造のウェブリソース
Description | Resource Link |
---|---|
Entry page at PDBe | 2LPZ |
Entry page at RCSB PDB | 2LPZ |
Entry page at PDBj | 2LPZ |
Entry page at BMRB | 18276 2LPZ |
Vivaldi Visualisation and Validation Information | 2LPZ |
NMR Restraints Grid | 2LPZ |
NRG-CING validation information | 2LPZ |
PSVS validation information | http://psvs-1_4-dev.nesg.org/ |
ResProx validation information | http://www.resprox.ca/ |
固体NMR法と電子顕微鏡(EM)法を組み合わせたアプローチを使って決定したネズミチフス菌由来の細菌のIII型分泌装置(bacterial type III secretion needle)の構造 (PDB entry 2LPZ; BMRB entry 18276; Loquet et al., 2012, Nature, 486:276)