[wwPDB] 2024年のノーベル化学賞
スウェーデン王立科学アカデミーは、 デイヴィッド・ベイカー教授(ワシントン大学)、デミス・ハサビスCEO(DeepMind社)、ジョン・ジャンパー氏(DeepMind社) の3氏に、計算によるタンパク質の設計(アミノ酸配列のデザイン)とタンパク質の立体構造予測で 2024年のノーベル化学賞を授与すると発表しました。
60,000人以上のPDB登録者が実験データを登録し、wwPDBによって慎重にレビュー、検証、バイオキュレーションが行われています。 wwPDBのパートナーは、FAIR原則を遵守して検索、アクセス、相互運用、再利用可能を可能とし、 最も利用しやすいCreative Commons CC0 1.0 Universal License のライセンスの下で、全てのアーカイブデータを無償で利用制限なく公開しています。
これらのPDBデータは、今回の受賞で認められたタンパク質のデザインや立体構造の予測法を開発するためのトレーニングセットとなりました。 AlphaFoldとRoseTTAfoldによって生成されたモデルは、与えられた配列に基づいて驚くほど正確な3次元構造を作り出します。 また、これらのモデルは、X線結晶構造解析の分子置換法に使用したり、3次元電子顕微鏡法の密度マップと組み合わせることで、 予測や実験だけではしばしば到達できないレベルや品質で原子の詳細を明らかにすることができるため、PDBへ登録することの新たな原動力となっています。
また、構造生物学データの標準フォーマットとなったPDBx/mmCIFの影響も注目に値します。 PDBx/mmCIFは、拡張可能なデータ表現を提供しており、 wwPDBによって、実験的に決定された生体高分子の3次元構造の登録とアーカイブに使用されいます。 PDBx/mmCIFの拡張版(ModelCIF)は、 ModelArchiveによって、同様に計算構造モデルに対して使用されており、 AlphaFold 2.0ディープラーニングソフトウェアスイートで計算されたモデルや、 AlphaFold Databaseがあります。
画期的な功績を残してこの分野の進展に大きく貢献した、これら研究者とそのチームの方々、おめでとうございます。
図解: タンパク質は数十個から数千個のアミノ酸から構成されます(PDF)。
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