[wwPDB] PDBアーカイブの検証レポートが更新されました。
PDBアーカイブの全てのエントリーについて、検証レポートが更新され、レポート内の統計グラフも、2017年12月31日時点のアーカイブ情報を反映したものとなっています。 また、CCP4/Refmac (7.0 v44)、Phenix (1.13)、Mogul (2018)など、更新されたソフトウェアやCSDアーカイブ(as539be)が使用されています。 電子密度に上手くフィットしないリガンドを識別するために、これまではLLDF統計が使用されてきましたが、 実空間R因子(RSR>0.4) と実空間相関係数(RSCC<0.8)の組み合わせに置き換わりました。 標準アミノ酸や核酸が電子密度に一致しないことの識別は、Refmacソフトウェアが、登録者のR因子をいかに確実に再現するかを考慮するよう、修正されました。 wwPDBサイトのドキュメントは、これら変更を反映して更新されています。
更新されたレポートは、以下のFTPサイトからご利用頂けます。
- ftp://ftp.wwpdb.org/pub/pdb/validation_reports/ (wwPDB)
- ftp://ftp.rcsb.org/pub/pdb/validation_reports/ (RCSB PDB)
- ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/pdb/validation_reports/ (PDBe)
- ftp://ftp.pdbj.org/pub/pdb/validation_reports/ (PDBj)
更新前の検証レポートは、RCSB PDBやPDBj のスナップショットにて、ご覧頂けます。
更新された検証レポートでは、検証に関する専門委員会(Validation Task Force) の意見を取り入れ、 広く受け入れられている評価基準を使って、構造の品質が評価されています。 wwPDBパートナーは、学術誌の編集者や査読者に、論文の投稿・査読過程の中で、著者に検証レポートの提出を求めるよう、推奨しています。 レポートには、日付とwwPDBのロゴが表示されており、その構造がどこのwwPDB拠点で処理されたかにかかわらず、同じ情報が含まれています。 すでに、複数の学術誌 (Nature、eLife、The Journal of Biological Chemistry、 the International Union of Crystallography (IUCr) journals、FEBS journals、Journal of Immunology、 Angew Chem Int Ed Engl) では、論文投稿の過程で、wwPDB検証レポートの提出が求められます。
また、OneDep(wwPDBの登録・アノテーション・検証ポータルシステム)では、登録者に検証レポートが提供されます。 wwPDBは、スタンドアロンの検証サーバーや、 ウェブサービスAPIを使って、 登録者が登録前に構造を検証することを推奨しています。 登録者は、データを登録する過程で、レポートの内容を確認し、承認することが求められます。 今後も、X線やNMR、電子顕微鏡(EM)の専門委員会(VTF)、リガンド検証の専門家の意見を取り入れ、 また、登録者やユーザからのフィードバックを集めながら、更に検証レポートを開発し、改善していく予定です。
wwPDBによる、構造検証レポートに関する以下の論文も参照してください。
Validation of Structures in the Protein Data Bank (2017)
Structure 25: 1916-1927 doi: 10.1016/j.str.2017.10.009.
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