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ProMode-Elastic(プロモード エラスティック)は、プログラムPDBETA(PDBη、ピーディービーイータ)を使ってPDBデータの基準振動解析を行った結果を公開しているデータベースである。 PDBETAは、 二面角を独立変数とする弾性ネットワークモデルによる基準振動解析計算プログラム(Elastic-network-model based normal mode analysis in Torsional Angle space for PDB data) で、 二面角を独立変数に採用することで、PDBデータのすべての原子を考慮しても、分子構造を比較的少ない自由度で記述することができ、 また、弾性ネットワークモデルを採用したことで、タンパク質分子のみならず、DNA、RNA、リガンドなどの分子を取り入れた計算を可能にした。ただし、現時点では、水素原子と水分子は、変数の数を少なく抑えるために計算から除外している。

(1) 独立変数と分子構造の記述

独立変数として二面角を使う。化学結合長と結合角はPDBの値に固定する。二面角を独立変数とする場合、分子構造をグラフ理論でいうところのツリー構造で表す必要がある。剛体部分(1つあるいは複数の原子からなる)をグラフの頂点に、それら剛体部分を結合する回転可能な化学結合部分を辺と考える。

分子構造をツリー構造で表すためには、回転可能な化学結合のある環状構造を含むことができない。ただし、全体を剛体とみなす環状構造は問題ない。したがって、アミノ酸の芳香環や核酸塩基の環状構造などは剛体とみなしている。しかし、核酸の糖環については、パッカリングを考慮したいため、環を構成する化学結合の一つを非共有結合とみなし、その代わりに、その結合の両端の原子間に K (dij - dijPDB)2の形のポテンシャルによって強い制約条件を課すことで、内部に自由度をもつ環状構造を表現している。また、S-S結合のような複数の残基で構成される大きな環状構造についても、同じように取り扱うことで環状構造であることを表現している。

(2) ポテンシャル関数

原子i とj の間のポテンシャル関数は次のような単純な形で与えられる:

E (dij) = K exp{-(dij)2/a2} (dij - dijPDB)2

  • dij は計算している分子構造における原子 i と j の間の距離である。
  • dijPDB はPDBにおける原子 i と j の間の距離である。
  • Ka は原子の種類によらないパラメータである。これらの値は、ユーザーが自由に決めることができる。どのような値を使ったかは、各タンパク質のページ内の、「計算に関するメモ」に記述した。


明らかに、PDBの構造は、このポテンシャル関数のもと、エネルギー最小となっている。

(3) 振動の振幅と温度

この系では、ポテンシャル関数が通常の分子力学に基礎をおいて定義されたものではないので、温度の設定が意味をなさない。したがって、通常ならば温度によって決まる振幅も意味をなさない。その結果、振幅をユーザーが自由に設定することになる。振幅をどのように設定したかは、 各タンパク質のページ内の、「計算に関するメモ」に記述した。

ここで注意して欲しい点は、どのタンパク質においても、常温でのゆらぎよりもかなり大きいと思われる大きさに揺らぎが設定されていることである。これは、ゆらぎの大きさを多少誇張しないと、アニメーションなどで表現したとき、視覚的に認識しずらいためである。

(4) ProMode-Elasticで提供している情報

a) 原子のゆらぎ。時間平均と3つの最低振動数モードに対してグラフで表示。
b) 二面角のゆらぎ。時間平均と3つの最低振動数モードに対してグラフで表示。
c) 原子ゆらぎの相関。時間平均と10個の最低振動数モードに対する値を三角図で表示。
 また、対照のため、残基間の距離マップも表示している。
d) アニメーション。10個の最低振動数モードに対して、jV (PDBj) と Jmol で見ることができる。
 また、GIFアニメーションも表示している。
e) 変位ベクトル図。10個の最低振動数モードに対して、jV (PDBj) と Jmol で見ることができる。
 また、静止画も表示している。
f) 結果の数値データがダウンロード可能である。
作成日: 2013-03-21 (最終更新日: more than 1 year ago)2018-06-28