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PDB:3alz

タンパク質名

麻疹ウイルス・ヘマグルチニン (MV-H) / SLAM 複合体

生物種

麻疹ウイルス / ワタボウシタマリン

生物学的役割

パラミクソウイルスに分類される麻疹ウイルスは、「はしか」ウイルスとも呼ばれ、そのためのワクチンが存在するにもかかわらず、未だに世界中の5歳以下の子供の死因の4%を占めている。ほとんどのパラミクソウイルスはヘマグルチニンを介してシアル酸を受容体として認識するが、麻疹はSLAM (CD150)、CD46、ネクチン等のタンパク質を受容体として用いている。原論文では、麻疹のヘマグルチニン(MV-H)とSLAM(signaling lymphocyte activation molecule)の複合体構造が報告されている。

SLAMはSLAMファミリーに属する代表的なタンパク質であり、胸腺細胞、活性化されたリンパ球、成熟した樹状細胞、マクロファージ、血小板上に発現している膜タンパク質である。SLAMは未分化造血幹細胞のマーカーとしても使われており、リンパ球活性化に重要な役割を果たしていると考えられているが、その機能に関しては、まだ不明な点も多い。また、SLAMの発現分布は、生体内での麻疹ウイルスの増殖分布とよく対応している。

立体構造の特徴

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Figure 1AにMV-HとSLAMの複合体構造を示す。MV-Hはβ1からβ6までの6枚の羽を持つβプロペラ構造を持つが、その中でも、β4,β5,β6を用いてSLAMを認識している。またSLAM側も、Igフォールドを形成するβシート構造を介してMV-Hと相互作用している。

MV-HとSLAMの相互作用様式は、同様のβプロペラ構造を持つ他のパラミクソウイルスやインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼとは異なっている。例えば、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ (1nsc) では、βプロペラ構造の頂点を介してその受容体であるシアル酸と結合している (Figure 1B)。

Figure 2にMV-HとSLAMの相互作用面を示す。その相互作用面は、原論文では、4つの領域に分けて記述されている。サイト1は静電相互作用をしている領域である。主にMV-HのAsp505/Asp507とSLAMのLys77/Arg90が関わっている。サイト2では、静電相互作用と疎水性相互作用をしている領域である。前者ではMV-HのArg533/Asp530とSLAMのGlu123が、後者ではMV-HのPhe552/Pro554とSLAMのHis61/Val63が関わっている。サイト3は、MV-HのPro191からArg195、SLAMのSer127からPhe131の一連のアミノ酸を介するβシート同士の相互作用領域である。サイト4は、Pheや Tyr等の芳香族アミノ酸同士の相互作用を中心とした疎水性相互作用領域となっている。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Hashiguchi, T., Ose, T., Kubota, M., Maita, N., Kamishikiryo, J., Maenaka, K., Yanagi, Y.; "Structure of the measles virus hemagglutinin bound to its cellular receptor SLAM". Nat.Struct.Mol.Biol., (2011) 18:135-141 PubMed: 21217702

その他

著者: 田邉 暁子, 黒田 大祐


English version:PDB:3alz